「クマさんとかぞえよう」(アナログゲーム紹介)
「クマさんとかぞえよう」というゲームを紹介します。
ヴィキッズにある様々なゲームには、国産のものやドイツ産のものが多く、アメリカやフランスなど、それら以外の国のものもありますが、これは中でも珍しく、リトアニアの作品です。
順番にカードをめくっていき、そこに描かれた数字の分だけ野いちごをもらえます。また、マイナスの描かれたカードをめくってしまった場合、左右どちらかのプレイヤーに、自分の野いちごをプレゼントします。
シンプルなルールのゲームで、3歳ぐらいから遊べますが、療育のツールとして利用できるポイントがいくつもあります。
まず、数字を読み(あるいは誰かに教えてもらい)、数字と同じ数だけの野いちごを、中央の箱から取り出す必要があります。これには、数字の理解が必要です。
次に、取り出した野いちごを、ヒモに通していく必要があります。大人にとっては、なんてことないことですが、低年齢のこどもたちにとっては、意外と難しいものです。指先の巧緻性を高めることにつながります。
また、時計回りに順番が回ってきますが、それを「待つ」ことや、自分の順番だとわかること、今、誰の順番なのか認識することなども、意外に難しいことです。
そしてさらに、マイナスのカードが出たとき、カードに描かれたクマさんの向きに合わせて、左右いずれかのプレイヤーに、自分の野いちごをあげなければなりません。
(写真のカードが出た場合は、クマさんが左を向いているので、左隣のプレイヤーに4個プレゼントする)
いったん確保したものを、人にあげるのは、大人だって悔しいことです。そこをこらえて、「2個どうぞ」「ありがとう!」とコミュニケーションできるかどうかが、このゲームのポイントです。もらったりあげたり、プレゼントしてお礼を言って、というコミュニケーションの繰り返しを自然にできるように設計されています。
最後に、勝敗を決める場面。
数字を数えて大小を判断するのは、一定の発達段階に達していなければできません。3つぐらいまでは数えられても、7個と9個のどちらが多いか、低年齢の子では、パッとわからないことも多いです。
でもこのゲームでは、ヒモに通した野いちごを並べてみれば、一目瞭然です。
大きな数を数えるのが難しいこどもでも、ゲームに参加できますし、最初は長さだけで大小を判断していたこどもたちも、だんだんと数を数えるトレーニングをしていけます。
また、カードの裏面に水溜まりが描いてあるのが、マイナスのカードです。
大人は、わざとマイナスのカードをめくって負けてあげるなど、勝敗をコントロールするのが、療育に使うためのポイントかもしれません。
カードに何の数字が書いてあるかは、完全にランダムのゲームですので、運が悪いと、ほとんど取れずにプレゼントしてばかりということもあり得ます。そんなときは、多く取れた人が、少ない人にプレゼントするなどする場面を作って、ほどほどに量を調整する必要があります。
ただ、ゲームに勝敗はつきものですが、勝って「嬉しい!」という気持ちも、負けて「悔しい」という気持ちも、どちらも次につなげるための大事なステップです。負荷になりすぎない範囲で、こうした経験を積んでいけるといいですね。